2018年4月に着任し、2020年3月に小笠原研究室から初めての卒業生(9名)が、そして、2021年3月には11名、2022年3月には13名、2023年3月には9名、2024年3月には11名、2025年3月には14名、そして2026年3月には13名が社会に飛び立ちました。このサイトでは、卒業研究の研究概要(A4 1ページ)の「1. 研究背景」「2. 研究目的」から抜粋した文章を載せてあります。研究概要からそのままコピーをしたので、図表番号、参考文献の番号もそのまま入っていることをあらかじめご了承ください。基本的には、学生が興味を持っていることをテーマにするようにしていますが、うまく落とし込めなかったり、よくよく考えてみるとそれは興味のあるテーマではなかった、といったこともあります。テーマが決まらない場合には、私の方からいくつかのテーマを提示して、その中からさらに絞り込むということにしています。
あと、気に掛けていることは、できるだけ手を動かし「成果物」を残すということです。成果物の種類にはこだわっていません。プログラム、仕様書/設計書、マニュアル、ガイド、手順書など、「これを作り上げた」ということを体感してもらいたいと思っています。
プロジェクトマネジメント学科では、3年生から研究室に配属になり、3年生の後期には「課題研究」を行っています。研究概要(2ページ)を作成し、課題研究発表会で研究した内容を発表するのがゴールです。4年生では卒業研究を仕上げます。卒業研究では、研究概要(1~2ページ)と卒業論文(60ページ前後)を仕上げます。途中で、中間発表があり、最後は、卒業研究発表会で成果を報告します。3年生と4年生の2年間、研究活動をとおして成長してもらえるように、サポートしています(実際には、サポートというか、一緒に検討したり議論したりすることが多いです)。卒業してから、「あの時、あんなこと、こんなこと、いろいろあったけど良い時間だったな」と振り返ってもらえるようにしたいと思っています。
- 博士論文リスト
- 修士論文リスト
- 卒業論文リスト(7期生:2026年3月卒業生)
- 卒業論文リスト(6期生:2025年3月卒業生)
- 卒業論文リスト(5期生:2024年3月卒業生)
- 卒業論文リスト(4期生:2023年3月卒業生)
- 卒業論文リスト(3期生:2022年3月卒業生)
- 卒業論文リスト(2期生:2021年3月卒業生)
- 卒業論文リスト(1期生:2020年3月卒業生)
博士論文リスト
(2)看護基礎教育における多重課題シミュレーションの開発と普及・展開に向けたプロセスに関する研究、岡本華枝(2026年3月修了)
(1)日本企業のDX によるビジネスアジリティ向上に向けたプロセスに関する研究、上條英樹(2025年3月修了)
- (2)看護基礎教育における多重課題シミュレーションの開発と普及・展開に向けたプロセスに関する研究、岡本華枝(2026年3月修了)
本研究の要旨
本研究は、看護基礎教育において新人看護師に求められる多重課題処理能力を育成するための「多重課題シミュレーション」の開発と普及・展開を目指し、必要なマネジメントのあり方を明らかにするものである。臨床現場では、新人看護師が複数の患者の状況を同時に判断し、優先順位をつけて対応する高度な臨床判断力が求められる。しかし、看護基礎教育においては、こうした能力を計画的に育成するための教授法や指導法が体系化されておらず、各教育機関の取り組みは個別的かつ断片的にとどまっている。さらに、多重課題シミュレーションの全国的な普及に向けた支援体制やプラットフォームも未整備であり、他の教育現場への応用を可能とする実践事例の蓄積も不十分である。これらの課題に対して本研究では、「教授法の構築」「プラットフォームの設計」「展開体制の整備」の3つの視点からアプローチし、どのようなマネジメントが有効かを明らかにすることを目的とした。
教授法に関しては、現場での臨床判断力を可視化するモデルとしてGOLDメソッド(Goal-Oriented Learning Design Method:ゴール達成型学習デザイン)を採用し、これに基づいた教育実践ステップと学習ポイントを設定することで、共通理解に基づく指導が可能となる教材を開発した。また、知識の共有と教育者間の学び合いの場を創出するための仕組みづくりを進めた。
普及を支えるプラットフォームの構築においては、活動の中心を担う推進体制を中核に据え、あるべき姿のモデル、教材開発、評価・フィードバック、情報共有基盤の構築、成果と効果の可視化の6つの要素から構成されるフレームワークを設計した。さらに、多重課題シミュレーションを展開するためのWebサイトや相談・報告サロンを公開し、知識と実績を蓄積できる体制整備を行った。
これらのプロセス全体において、本研究ではP2M(Program & Project Management for Enterprise Innovation)の理論を活用した。P2Mは、複数の活動やプロジェクトを統合的に設計・実施・評価するための戦略的マネジメント手法であり、教育分野においても応用可能な体系的枠組みを提供するものである。特に、P2Mの中核を成す「3Sモデル(スキーム・システム・サービス)」、および「統合マネジメント(6種類のマネジメント)」と「プラットフォームマネジメント(「場」のマージメントを含む)」の考え方を本研究に適用した。
教授法の設計には、統合マネジメントの各マネジメント(戦略、アーキテクチャ、ライフサイクル、価値評価など)を取り入れ、教育内容の見える化・構造化を進めた。プラットフォーム構築においては、プラットフォームマネジメントを活用して、教育者と実施者が相互に協働しやすい枠組みを整えた。さらに、全国展開に向けては、3Sモデルと価値評価指標を基盤とした持続可能な運用設計を行った。
本研究の成果として、教授法・教材・演習の開発、導入支援の仕組み、多施設間での知識共有体制を備えた多重課題シミュレーションの体系的な教育フレームワークを確立することができた。これにより、看護基礎教育における教育と現場実践とのギャップを縮小し、新人看護師の臨床現場への適応力を高めることが期待される。また、本研究で構築した教育マネジメントの枠組みは、看護教育に限らず、他分野における教育改革や実践知の共有にも応用可能であると考えられる。
- (1)日本企業のDX によるビジネスアジリティ向上に向けたプロセスに関する研究(2025年3月修了)
本研究の要旨
ITの急速な進化により、新興のデジタル企業がITを駆使して新たに市場参入し、創造的な新しい価値を素早く投入することで、伝統的な企業や市場を破壊する「デジタルディスラプション」が起きている。この背景により、多くの企業は、デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)で、新たな価値をいかに素早く市場に投入するかが、企業の存続にも関わる重要課題になっている。スイスの国際経営開発研究所による世界デジタル競争力ランキング調査によると、日本は、1989年の調査開始から1996年まで、競争力のランクが1位から4位と競争力が高かったが、近年ではランクが下降しており、2024年には38位と競争力が低迷している。その原因として、詳細な調査項目のビジネスの俊敏性が56 位と特に低い状況である。このことからも、日本企業は、DXが重要な取組となる。
DX白書2023によると、米国に比べて遅れていた日本企業のDXの取組状況は、近年、大企業を中心に取組が進んできている。しかし、DXで成果をだせている企業は、少ない実状がある。
DXに対応した開発手法としてアジャイルが注目されている。アジャイルは、ソフトウェアの開発手法として提言された。短期間で繰返し開発することで価値の早期提供と柔軟な変更への対応が可能であるという特徴を持つ。アジャイルは、新たな価値を短期間で提供する仕組であることから市場への価値提供スピードの向上が期待できることより、ビジネスの俊敏性を意味するビジネスアジリティ向上に効果があると考えられる。しかし、DX白書2023によると、日本企業のアジャイルへの対応は、進んでいない状況も報告されている。
大企業でのアジャイルは、組織が大きいため経営との意思が連動しないとDXの本来の狙いであるビジネスアジリティの向上とならない課題が残る。日本企業がDXで成果が出せていない要因の一つとして、この大企業でのアジャイルの導入に課題があると考えられる。アジャイル開発にビジネスアジリティを向上させる組織マネジメントを含めたDXのプロセスを考案することで、その課題を解決する一つの手段になると考える。
大企業でのアジャイルや大規模アジャイル開発には、エンタープライズアジャイルという考え方がある。「エンタープライズアジャイル実践導手引書」では、エンタープライズアジャイルアジャイルを、(1) 大企業でアジャイルを導入する。(2) 大規模プロジェクトでアジャイルを導入する。(3) 組織活動にアジャイルを導入するの3 つに定義している。今回、日本のDXの実状を踏まえ、定義 (1) に対応した、エンタープライズアジャイルの事例となる大企業でアジャイルを導入するビジネスアジリティ向上という課題に対応した、DXのプロセスについて着目した。
本研究では、研究対象企業が独自で実施しているDXに関わる開発プロセスの課題を取り上げた。DXに関わる開発プロセスの見直しや手順書、情報を共有するプラットフォームなどの仕組をDXフレームワークとして考案し、ビジネスアジリティ(ビジネスの俊敏性)が向上するかについて検証を実施した。研究企業であるIT関連のエンタープライズ企業では、2018年4月から2022年3 月までの約5年をかけてDXを推進してきた。2018年から2019年までは、独自プロセスでDXに関連する開発を実施してきたが2020年以降は、DXを推進し顕在化した3つの課題(DX推進方法が確立していない、DX適用拡大への対応が難しい、DXとビジネスアジリティ向上が必ずしも連動していない)を解決するために、アジャイルとP2Mを応用した、DXフレームワークを考案し適用した。考案したDXフレームワークは、開発プロセスを中核として、その開発プロセスと3Sモデル(スキームモデル、システムモデル、サービスモデル)、ロボットカルテ(業務をDX化するための3Sモデルに対応した開発計画から手順書、状況報告に対応した計画書兼管理簿)、プラットフォーム(関係者間のコミュニケーション方法及びノウハウの蓄積とビジネスを検討する共通の場所)との関係を明確にしたものである。
このDXフレームワークをプロジェクトマネジメント版、プログラムマネジメント版、ポートフォリオマネジメント版と構築・進化させて研究対象企業に適用した結果、生産性やビジネスアジリティ向上への効果が確認できた。提案するDXフレームワークと本研究で示した活動内容は、今後、DXによりビジネスアジリティ向上を目指す企業の参考になると考える。
修士論文リスト
(5)Mapping ISO 15408 Security Functions to SDLC Phases: Insights from a Questionnaire-Based Study - Checklist-Based Evaluation-(2025年3月修了)
(4)ソフトウェアプロセス改善のロジックモデル作成方法の提案(2026年3月修了)
(3)ゲームのテストに向けたテスト手法の設計(2025年3月修了)
(2)電子カルテのブロックチェーン活用方法の提案(2023年3月修了)
(1)システムテストにおけるテスト自動化手法の効率化に関する提案(2022年3月修了)
(5)Mapping ISO 15408 Security Functions to SDLC Phases: Insights from a Questionnaire-Based Study - Checklist-Based Evaluation-(2025年3月修了)
1. Background of the study
Software security is a critical requirement for preventing software security breaches, emphasizing the need for comprehensive security measures across all phases of the Software Development Lifecycle (SDLC) [1]. ISO/IEC 15408 provides an international standard for security evaluation of information systems. It establishes criteria for assessing whether information technology products and systems are properly designed and correctly implemented.
A core element of ISO/IEC 15408 is the Security Target (ST) [2], which specifies the security functions of the target system. However, effectively integrating and maintaining these security targets within SDLC phases remains a challenge for software development teams. Insufficient implementation may result in issues such as compromised data privacy, system vulnerabilities etc. Addressing these shortcomings often requires extensive rework and additional costs.
2. Purpose of the study
This research aims to establish a structured mapping between ISO/IEC 15408 security functional requirements and the phases of the software development process and develop a security checklist based on ISO/IEC 15408-2. The goal is to contribute to secure software engineering by providing a systematic framework for embedding standardized security functions into the development process. The proposed mapping and checklist are expected to support developers, project managers, security analysts, and quality assurance engineers in integrating, testing, and maintaining security controls throughout the software development lifecycle.
- (4)ソフトウェアプロセス改善のロジックモデル作成方法の提案(2026年3月修了)
1.はじめに
ソフトウェア開発は社会の変化や技術の進化に対応するため,ソフトウェアプロセス改善(SPI:Software Process Improvement)活動が必要である.現状SPI活動では短期,中期的な目標のみ語られていることが多い.しかし,社会の流れに対応する為には長期的な展望も重要だと考えている.本研究では,ロジックモデルを用いてSPI活動での事業の目的や有効性を明確化することを目的としている.ソフトウェアプロセス改善シンポジウム(SPIJapan)の概要発表集を参考にし,ロジックモデルを作成したが,あまりカバーできる部分は増えなかった.そこで,当てはまらなかった部分に生成AIを活用し,ロジックモデルを作成しようと試作している.
2.研究目的
本研究の目的は,SPI事例における活動内容と成果を体系的に整理し,短期的成果だけでなく,将来にわたる影響まで含めて可視化可能なロジックモデル作成手法を提案することである.
- (3)ゲームのテストに向けたテスト手法の設計(2025年3月修了)
1.研究の背景
日本のゲーム業界は,1980年代から国際的に高い競争力を誇る産業であり,多くの名作を生み出してきた.近年,ゲーム開発の複雑化と短期間での製品リリースが求められる中で,品質保証の重要性がさらに高まっている.手動テストは労力がかかり,スケーラビリティに限界がある一方,自動化テストは効率を大幅に向上させる可能性がある.自動化テストだけではユーザー体験や複雑なシナリオを十分に評価できないため,手動テストとの適切な組み合わせが必要とされている.
2.研究の目的
本研究の目的は,手動テストと自動テストを効果的に組み合わせた新しいテスト設計手法を開発することである.これにより,ゲーム開発におけるテストの効率と効果を高めることを目指す.
- (2)電子カルテのブロックチェーン活用方法の提案(2023年3月修了)
1.はじめに
近年,新型コロナウイルス感染症が世界的に流行していることにより,病院に入院する必要のある患者が増え日本中の医療機関がすべての重症患者に適切な処置を施せなくなり患者の死亡数や重症化の割合が増大した[1].コロナ禍では入院している患者に外部からの面会ができず,投与される薬も多いため患者の不安が募る一方である.そのため,入院患者の家族からどのような処置を受けているのか,体調は大丈夫なのか等現状がわからないため不安だけが募っていくという声もよく耳にする.しかしこれらの情報は個人情報となるため当事者や家族のみに公表する必要がある.これらの問題点を解決し情報を公開できるツールとして,本研究ではP2P型データ管理手法であるブロックチェーン(BC : Block Chain)技術を用いる.
2.研究目的
情報漏洩やセキュリティ面に考慮し電子カルテの内容を患者や親族に公開できるシステムを提案し実現可能性と導入時のリスクを評価する.
- (1)システムテストにおけるテスト自動化手法の効率化に関する提案(2022年3月修了)
1.研究の背景
ソフトウェア開発規模が飛躍的に増大しているため,多くの企業では,これまで手動で行っていた作業を機械で置き換える「テスト自動化」手法を用いた テスト支援に取り組んでいる [1].しかしテスト自動化をしてもテスト仕様書に抜け漏れがあったり,設定したテストシナリオに抜け漏れや記入ミスがあったりしては効率的にテストができているとは言えない.
2.研究の目的
本研究の目的は, 効率的にテストを行うためにテスト 計画書・ 仕様書とテストシナリオテンプレートを用いてテスト自動化手法を提案することである. また, テスト環境は,JenkinsとRanorexを用いて構築を行う.
卒業研究リスト(6期生:2025年3月卒業生)
1.コミュニケーションロボットの活用方法の研究
2.ゲームにおける自発的な難易度調整としての縛りの有効性に関する研究
3.鹿島アントラーズにおけるスタジアム移転の経済的・社会的影響
4.AI フィードバック・システムによる対話改善効果
5.教育のICT 化に伴う学習アプリの開発
6.PM学会研究発表大会資料に基づくプロジェクト課題の傾向レビュー
7.ChatGPTを用いた性格診断の再現性や有効性に関する研究
8.エージェントシミュレーションによるフレームワークの提案とe スポーツ活用の検討
9.ゴルフボールを追跡するシステムの開発
10.小学生向けプロジェクトマネジメント体験教材の開発
11.日本語の周波数特性と音楽との調和に関する研究
12.動画の人気要因とプラットフォーム特性の比較研究
13.Eスポーツにおける身体的性差の研究
1.コミュニケーションロボットの活用方法の研究
現代の日本社会において,急速な高齢化に伴う介護現場の人手不足や,高齢者の認知機能維持,生活の質(QOL)の向上は喫緊の課題である.これらに対しICT技術の活用が期待されているが,実際の現場では「操作の難しさ」や「高齢者の抵抗感」への懸念が根強い.本研究では,親しみやすい外見と高度な対話機能を備えたロボット「RoBoHoN(ロボホン)」を用い,福祉現場における「実用的なコミュニケーション支援」の形を明らかにすることを目的とした.特に,ロボットが司会を務めるレクリエーションが,高齢者の記憶想起(回想)や社会的対話をいかに促進するかを検証した.
2.ゲームにおける自発的な難易度調整としての縛りの有効性に関する研究
ゲーム体験において「難易度調整」は極めて重要な要素である.フロー理論によれば,難易度とスキルが釣り合った状態こそが高い幸福度と集中力をもたらすとされている[1].ゲーム制作者にとっては,最後までプレイしてもらうために,適切な難易度を設定し,プレイヤーのモチベーションを維持する工夫が不可欠である.しかし,難易度設定はプレイヤーに不快感を与える場合もある.荒木らの研究によるとLowood らは,難易度調整により「プレイヤーの決断やスキルが重要でないと感じさせてしまうこと」が嫌悪の要因であると指摘しているという[2].近年の一般的な方法として,プレイヤーに「イージー」「ハード」といったモード選択を行わせる手法があるが,これも可視化された難易度調整により不快感を招く可能性がある.他にも,プレイスキルに応じて変化する動的な難易度設定や,進行度に応じて難易度を上昇させる手法が存在するが,いずれもプレイヤーの成長実感を妨げたり,飽きを生じさせたりする欠点がある.そこで本研究では,能動的でありながら難易度の可視化が行いにくい「縛り」に着目した.
3.鹿島アントラーズにおけるスタジアム移転の経済的・社会的影響
日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)は発足当初から「地域密着」を理念に掲げ,クラブと地域社会の結びつきを重視してきた.その中で,鹿島アントラーズは茨城県鹿嶋市を拠点とし,全国的な強豪クラブとしての地位を築くと同時に,地域振興に大きく貢献してきた.しかし,県立カシマサッカースタジアムは建設から年月を経ており,海風や塩害による施設老朽化や収容規模の限界が指摘されている.現在,スタジアムをどこに移転するべきかという議論が活発に行われており,その動向はクラブ運営のみならず地域経済や交通政策にも影響を及ぼす重要な課題となっている.
4.AI フィードバック・システムによる対話改善効果
近年,生成AI は企業や教育現場におけるコミュニケーションの質向上と生産性改善の手段として急速に普及している.Slack Workforce Lab(2024)の調査では,業務でAI を活用する従業員の約8 割が生産性向上を実感する一方,明確な利用ガイドラインがない職場では活用が大きく伸び悩むことが示され,運用設計と実装文脈の整備が喫緊の課題となっている[1].
また,日本の労働者を対象としたランダム化比較試験では,人とAI の協働がコミュニケーション量および生産性を有意に高めうることが示されている[2].
しかし,リアルタイム対話の質(発話の偏り,質問比率,感情トーンなど)への影響や心理的安全性・チーム信頼への波及,さらに導入コストやプライバシー配慮を踏まえた費用対効果の観点は十分に検証されていない.
そこで本研究は,AI フィードバック・システムを「実際に導入」するのではなく,その効果を客観的に評価するための総合的な評価基準を設計・提示することを目的とする.
5.教育のICT 化に伴う学習アプリの開発
今日,初等教育および,中等教育において,文部科学省が令和元年(2019 年)よりGIGA スクール構想を掲げており,教育のICT 化を進めている[1].この構想では,1 人1 台端末と,高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備することで,特別な支援を必要とする子供を含め,多様な子供たち一人一人に個別最適化され,資質・能力が一層確実に育成できる教育ICT 環境の実現を目指している[2].
これにより,小学校から中学校の義務教育段階の学校現場においては,令和6年3月時点で児童生徒1 人あたりに1.1 台配置されている.
また,高等学校段階においても全体の端末整備率は令和6 年段階で106.2%であり,地域によって多少の誤差などはあるものの初等中等教育段階の教育現場において,生徒児童用のICT 機器の整備は平均100%(1 人あたり1 台)を超えている現状である.
さらに,高校生ともなれば,その連絡手段として,スマートフォンを所有していることも少なくない.教育の周りにデジタルが普及している中,スマートフォン端末やタブレット端末などのデジタル端末での使用をメインとした学習用アプリが,iOS 端末用のApp Store やAndroid 端末用のGooglePlay などで数多くリリースされている.これらのことから ICT 機器の教育への期待はますます高くなっていることだろう.
6.PM学会研究発表大会資料に基づくプロジェクト課題の傾向レビュー
近年,プロジェクトマネジメント(PM)分野におけるトレンドは常に変化しており,その動向は企業や組織に大きな影響を与えている.特に,近年ではAI技術の活用やアジャイル開発の導入,PM人材の不足といった課題が注目されている.これらのテーマは,企業のプロジェクトマネジメントにおける重要な課題として取り上げられており,IPA独立行政法人やPMI(プロジェクトマネジメント協会)の調査では,これらの課題が現在のプロジェクトにおける主なトレンドとして挙げられている.
7.ChatGPTを用いた性格診断の再現性や有効性に関する研究
近年,生成AIをはじめとする人工知能技術は急速に発展し,ビジネスや日常生活のさまざまな場面で活用されている.特にChatGPTに代表される生成AIは,高度な文章理解・生成能力を有し,人間の思考や判断に近い応答を示すことが可能となっている.このような技術の進展は,業務効率化にとどまらず,人材評価や採用選考の在り方にも影響を与え始めている.
現在,多くの企業において就職活動の選考過程の一部として,適性検査という就活生がどの様な人材であるか判断するテストが導入されている.この検査には性格診断という,応募者の性格傾向や行動特性を数値化する質問が含まれており,職務適性や組織適合性を判断する指標として用いられている.しかし,これらの性格診断が測定している人格や感性が,人間に固有のものであるのかについては,十分な検証がなされているとは言い難い.
もしAIが人間と同様の性格診断結果を再現できるのであれば,現在広く行われている適性検査の有効性や評価基準そのものを再考する必要がある.本研究は,生成AIによる性格診断の再現可能性という観点から,適性検査の意義を問い直すことを研究背景としている.
8.エージェントシミュレーションによるフレームワークの提案とe スポーツ活用の検討
令和5 年8 月,幕張メッセで『League of Legends』の大会を観戦し,演出と観客の一体感が生む熱量に強い魅力を感じた.一方で,地域創生の文脈で想定される小中規模イベントは,レイアウトや時間割,導線,再入場,休憩・飲食配置といった設計条件と,滞在・回遊・混雑・満足・支出などの成果の対応が,企画前に比較できる形で公開されにくい.このギャップを埋め,設計を検討するための「事前に回せる物差し」が必要だと考えた.
9.ゴルフボールを追跡するシステムの開発
ゴルフを始めたときに,ゴルフ場にロストボールが多く落ちており,ボールを打った際にも見失って探索に時間を要する場面が繰り返し生じた.ボールを捜索しているときも後ろの人を待たせてしまいスムーズにラウンドを回ることが不可能になっていた.これらの経験から,ロストボールを防ぐための支援アプリの必要性を感じた.
初心者はラウンド中に打球の見失い(ロストボール)が多く,プレー時間の増大やペナルティ発生,コスト増につながっている.実際,初心者は1 ラウンドで多数のボールを消費しやすく,ロストボールが主因と考えられる.また,ロスト判定(3 分超の捜索でペナルティ)[1]という競技規則上の制約も,初学者の負担を高めている.こうした背景から,「打ったボールを素早く・確実に見つける」ことは,初心者の離脱防止とプレー体験の改善に直結する課題である.
10.小学生向けプロジェクトマネジメント体験教材の開発
本研究は,小学生が自ら考え,協力して課題を解決する力を育むため,プロジェクトマネジメント的思考を体験的に学ぶ教育プログラムの必要性を明らかにすることを目的とした.近年のアクティブ・ラーニングや PBL(課題解決型学習)の導入が示すように,主体的・協働的な学習活動は,児童の思考力や協働力の育成に効果的であると考えられる.ま た,文部科学省の教育 DX 推進方針では,児童の主体性や協働性を育む教育の必要性が明確に示されており[1],小学校現場での具体的なプログラム設計や評価方法の確立が求められている.
11.日本語の周波数特性と音楽との調和に関する研究
言語音声と音楽はいずれも人間の発声・聴覚に基づく音響現象であり,歌唱では音声と言語,旋律と音楽が同時に成立する.日本語は母音中心で拍(モーラ)を基本単位とする言語であるため,歌唱時には母音の発音特性が旋律の響きや安定感に大きく影響すると考えられる.日本語歌唱については多くの文化的・言語学的研究が行われてきた一方で,音声の音響構造と楽音の周波数構造を直接対応づけた定量的研究は少ない.特に,母音のフォルマント構造と楽音の倍音構造の関係は,音響学的検証が十分になされていない.
12.動画の人気要因とプラットフォーム特性の比較研究
近年,YouTubeやTikTokなどの動画プラットフォームは音楽を中心としたエンタメ領域において重要な発信経路となり,楽曲の視聴や認知の獲得だけでなく,流行や拡散の形成にも大きく影響するようになっている.特にTikTokでは楽曲の一部が短尺動画として用いられ,UGC(User Generated Content)による模倣や二次創作を通じて拡散が生じ,楽曲が急速に広まった後にYouTubeなどで公式MVが再生される現象も見られる.しかし,動画がどのような要因によって人気を獲得するのか,またプラットフォームごとに人気形成の構造が異なるのかについては十分な分析が行われていない.本研究では,複数アーティストを対象にYouTubeとTikTokの人気動画を比較し,人気形成要因の共通性と差異を明らかにすることを目的とする.
13.Eスポーツにおける身体的性差の研究
一般的なスポーツ競技では,身体能力が大きく影響するため,男女でカテゴリが分かれている.体格や筋力のような男性優位の要素があり,これらは男女間で身体の構造が異なることが証明されている.しかし,Eスポーツでは体格や筋力の影響が少ないが,男女間での明確な差がある.例として「VALORANT」というゲームタイトルの女性プロ限定の大会が毎年開かれている.その大会は身体的性別でなく,心理的性別で区別しており,ある大会では大会優勝チーム,準優勝チームともにトランスジェンダーの選手を起用しており,個人成績でも上位にトランスジェンダー選手が多くランクインしていた[1].この出来事からEスポーツの身体的性差に着目した.
卒業研究リスト(6期生:2025年3月卒業生)
1.店舗運営における成功要因の分析
~アンケート調査と店長インタビューから学ぶマネジメントの本質~
2.オンラインコミュニケーションの課題に関する研究
3.ディズニーのルート検索の開発
4.Jリーグクラブ誘致に関する研究
5.ディープフェイクを使用した実験による認識の分析
6.STP分析を用いた新規ゲームソフト事業分析
7.生成AI利用における問題分析とリスク対策モデルの提案
8.学習とゲームにおける関係性と課題
9.Eスポーツ大会配信のリアルタイムコメントにおける研究
10.初動対応の成功に導くドローンを活用した救助経路システム
11.パスキーの普及についての考察
12.YouTube動画編集におけるマニュアル作成
13.PDCAサイクル管理ツールの開発と検証
14.学生を対象とした映画ビジネス改善の提案
- 1.店舗運営における成功要因の分析
~アンケート調査と店長インタビューから学ぶマネジメントの本質~
プロジェクトマネジメントにおける成功要因には,組織文化やコミュニケーションの活性化,リーダーシップの発揮が挙げられる.しかし,それらの要因が実際の現場においてどのように影響を及ぼすのかについては明確に理解されていない部分が多い.本研究では,アンケート調査を通じた定量的なデータと,尊敬する以前の私のアルバイト先の店長へのインタビューを通じた定性的なデータを組み合わせ,プロジェクトマネジメントと組織文化の相互作用を多角的に解明する.
- 2.オンラインコミュニケーションの課題に関する研究
コロナウイルスの影響で,オンラインコミュニケーションが急速に普及した.対面での交流が制限される中,リモートワークやオンラインプラットフォーム(Zoom,Teams,Discordなど)の利用が増加した[1].これに伴い,非対面でのコミュニケーションの限界が浮き彫りになり,誤解や孤独感が増加した.特に,長時間のオンライン活動はメンタルヘルスに悪影響を及ぼすことが報告されている[2].また,SNSでの情報拡散により,誤情報の問題も顕在化した[3].これらの変化を分析することで,今後のコミュニケーション戦略やメンタルヘルス支援に役立つ具体的な提言が期待できる.コロナによるオンライン化の影響を深く理解することは,実社会における重要な課題である.
本研究では,「オンラインコミュニケーションの持つメリット・デメリット」を調査,分析し,オンラインコミュニケーションの持つデメリットを軽減する解決策を提案する.
- 3.ディズニーのルート検索の開発
この研究をする背景としては,私自身が東京ディズニーリゾートへ行った際,やりたいことが多くあり,時間が足りないことやお金を使いすぎたと感じる経験も多かった.そこで,自分と同じように感じているゲスト(ゲストとは東京ディズニーリゾートにおいて,顧客のことを指す.以下ゲストと指す.)は他にもいるのではないかと思い,調査した結果旅行情報ブログTripperトラベルマルシェが「ディズニーで遊ぶとき,アプリやサイトでアトラクションの込み具合やファストパス状況を調べるのか」というアンケートを行っていた.アンケートの結果は,約半数以上のゲストがアプリやサイトでアトラクションや当時はファストパスの状況を調べていることが分かった[1].
この研究をするきっかけは自身の経験も含め,アンケート結果の背景があってこそ,この研究をしていた.また3年次に行った課題研究では,ソルバーを使用し最適解は算出したが,1つの解しか出てこないことから必ずしも自分が乗りたいアトラクションやグリーティング,ショーに行けない可能性が出てきてしまうことや,アトラクションが選択されるだけであり,順番で算出はされなかった.そのため,この課題としている「ルート順で表示する」,「移動時間の配慮」のこの2つを中心に,問題解決するためのプログラムを作って,実際にゲストに使用してもらい,パーク内でストレスなく楽しんでもらうことが今回の目的である[2].
- 4.Jリーグクラブ誘致に関する研究
Jリーグは「Jリーグ百年構想~スポーツで,もっと,幸せな国へ.」というスローガンを掲げ,「地域に根ざしたスポーツクラブ」を核としたスポーツ文化の振興活動に取り組んでいる[1].そして2024年9月27日現在,Jリーグ加盟クラブは41都道府県60クラブ [2]となっており,1993年のJリーグ開幕時の10クラブと比較し,6倍ものクラブ数となっている.さらに,現在Jリーグ加盟を目指すクラブが数多く存在していることから今後も数が大きくなることが予想される.そこで,現在Jリーグクラブが存在していない自治体にJリーグクラブを誘致,新設することは実現可能なのかと疑問に思い,本研究に取り組むこととする.
本研究では,自治体への新規Jリーグクラブ誘致に関する利点や課題点,過去の事例を研究する.そして,地域創生,地域活性化の一環としてJリーグクラブ誘致を目指す自治体が,本研究を参考に誘致活動に取り組むことができるようにすることを目的とする.また,本研究の中で誘致を行うと仮定する自治体を,私が住む埼玉県草加市とすることで,Jリーグクラブを通じた地域発展を草加市が実現可能かを模索し,2025年度に草加市役所に就職したのちにこのような提案をすることで,市の発展に貢献することを目指す.
- 5.ディープフェイクを使用した実験による認識の分析
近年, 機械学習と深層学習の進歩により, 画像や動画の生成技術が飛躍的に向上した. その中で, 機械学習アルゴリズムの一つである深層学習を使用して, 2つの画像や動画の一部を結合させ元とは異なる動画を作成する技術であるディープフェイクといわれるものがある. 現在世間でいわれているディープフェイクはフェイク動画, 偽動画を指すことが多い. そして, 現実の映像や音声, 画像の一部を加工して偽の情報を組み込み, あたかも本物のように見せかけて相手を騙す方法として認識されつつある. そのため, 偽造映像が流布されると, それが社会や政治に深刻な影響を与える可能性があり, ディープフェイク技術を悪用すれば、誰もがその影響を受ける可能性がある.
これらのことからディープフェイク技術は今後様々な分野で影響を与える可能性があり, それに対する準備と対策が必要になってくる. そのため少しでもディープフェイクへの理解を深めたいというきっかけからこの実験を行う.
本研究では, 大きく3つの目標がある.
一つ目はディープフェイクの精度はどのくらいのものなのかということである. 最近の技術では非常に高いレベルに達していると考えられるが, 主にどのような要因で精度が変化しているのかということを明確にしていきたい.
二つ目は実際に自分でディープフェイク映像を作成することで作成の手順を明確にし, 提案することである. また同時に作成することによって得られる知識についても明確にしたい.
三つ目は詐欺や悪用への対策が現在曖昧なものであるため, 実験結果を基に明確に提案したいということである. ここではディープフェイクを活用する上での懸念事項をまとめたい.
これらの目標を達成しよりディープフェイクについて理解を深めることが最大の目的である.
- 6.STP分析を用いた新規ゲームソフト事業分析
近年,ゲーム業界におけるソフトウェアの販売形態は大きく二つに分けることができると考えている.ひとつは,Nintendo Switch,Play Stationシリーズ,Xboxなどの家庭用ゲームハードや,パソコンを中心としていて,一部のスマホゲームにも展開されている有料ゲームである.もうひとつは,多くのスマホゲームに展開され,最近ではApex Legends,Fall guys,Pokémon Uniteなどといった家庭用ゲームハードでもダウンロード可能になっている無料ゲームの二種類である.
ファミ通.comの調査結果によると,オンラインゲームアプリの市場は大きく拡大している一方で,家庭用ゲームの市場は横ばいになっているとのデータがあった.しかし,同企業のゲームソフト売上ランキングを見れば,「ファイナルファンタジーXVI」や「ゼルダの伝説 ティアーズオブザキングダム」,「スプラトゥーン3」,「ポケットモンスター スカーレット バイオレット」などと数百万本の売上をあげている上で更にXのトレンド入りを頻繁に果たしているような話題性の高さも得ているソフトも多く存在し,有料ゲームは相対的に衰退しているとも言い切れない.現在両者共に市場に存在している有料ゲームと無料ゲームとの単純な比較では背景の通りどちらが優れていると言い切れない.
ここで仮に新規でゲームソフト開発事業を展開するとき,ゲーム形態や内容によってソフト自体を有料で販売するか,無料でゲーム内課金を促すかのどちらの形態で販売することが最適かをポジショニング分析しようと考えた.
- 7.生成AI利用における問題分析とリスク対策モデルの提案
対話型生成AI「ChatGPT」がリリースされたことを皮切りに,生成AIが世界に広く浸透した.そして現在,生成AIツールを使って様々な創作が可能になり,気軽に一定以上のクオリティが保たれた創作が可能になった.しかし,2023年には,17名の著名な作家が米OpenAIに対して著作権侵害の訴訟を起こす[1]など,人間が制作したイラストや画像に対する著作権などの権利に対する意識が問われる時代となっていることも事実である.これらの背景から,本研究でどういった要因が生成AIの問題となるのかを分析し,今後の生成AIの社会進出に寄与したい.
本研究では,生成AI技術の利用に伴う技術的,社会的,法的な問題を包括的に特定し,その原因や影響を体系的に分析する.この分析結果を基に,生成AIの利用におけるリスクを効果的に管理するための具体的な対策モデルを設計し,それを提示する.特に,生成AIが持つ課題として指摘される著作権問題,学習データの偏り,生成物の信頼性や品質の確保,責任分担の不明確さといったテーマに着目する.
- 8.学習とゲームにおける関係性と課題
インターネットが普及している昨今ではスマートフォンやパソコン,switchなどを使ってゲームをする機会が増えてきており,趣味や娯楽の中でゲームをする人の割合が2016年から2021年の5年間で7.1%上昇している.そして年々増加していることが報告されている.
また,新型コロナウイルスの影響で外出ができないため,イエナカ活動の充実化においてゲームが人気アクティビティの一つとなっている.しかし,ゲームの時間が増えていく一方でゲームに対する批判が起きている.例えばゲームばかりしているから成績の低下しているのではないか,リアルの充実さに不安を思う親の意見が複数あげられ ている.
学習を行うにあたって教材を読んだり,ドリルを解いたり,ノートに書きこむほかにゲーム性を取り入れた方法がある.例えば英単語を学ぶアプリや漢字検定に向けて学べるアプリ,地理を学べるアプリなど様々なアプリがある.また,学べるアプリによっては車やバイクなどのシミュレーションをしたり,パズルゲームを用いたり,ロールプレイングゲームを用いて問題を解決していくことで強くなれるゲームなどがある.
このように学習をゲーミフィケーション化させることで学習へのモチベーションを高める方法がある.
本研究では,「ゲームをするから成績が下がる」といったマイナスの意見を伝えるのではなく「ゲームをするとともに学べる学習がある」ということを分析し,学習とゲームの関係性を見つけ出して今後の学習方法の選択肢を広げることを目的とする.
- 9.Eスポーツ大会配信のリアルタイムコメントにおける研究
まず自分がなぜ今回このような題材をとって研究するかというと,自分がeスポーツの観戦が趣味で主にapexというゲームタイトルの大会を観戦しています.次回の世界大会が日本の札幌で開催されるので自分としてはタイミングがとても良いと思いました.apexの世界大会は今年で4年目で自分は2年目の時から観戦をしていて今では日韓のチームや選手の名前をかなりの数を覚えてきました.今までは日韓での予選はオンラインでオフラインの世界大会は海外特にヨーロッパやアメリカが主で自分は配信での観戦しかしてきませんでした,その際に公式の配信のリアルタイムコメントを見たときにとても乱暴的な言葉が多くあるように感じたのでそのような感覚を持つ人がいると競技の発展に影響があると感じ自分なりにできることがないか考えたためこの研究をすることにした.
- 10.初動対応の成功に導くドローンを活用した救助経路システム
1970年から2019年までに全世界で発生した自然災害は1万1072件に上り,2000~2009年には1970年代の711件から5倍に増加している[1].近年,自然災害の頻発に伴い,迅速かつ効果的な救助活動の重要性が高まっている.世界気象機関(WMO)によれば,災害後72時間以内に救助が行われない場合,生存率が大幅に低下する.日本国内でも自然災害の発生と被害額が増加傾向にある[2].近年,ドローン技術の進化により,災害時における空からの迅速な情報収集や,被害状況の把握が可能となり,救助活動の効率化が期待されている[3].
本研究は,ドローンで収集した画像データを解析し,被災地や被災者への障害物を避けた最適経路をリアルタイムで計算・提案するシステムを開発することを目的とする.このシステムはGoogleマップと連携し,救助隊が効率的かつ迅速に行動できる環境を提供し,災害時の生存率向上を目指すものである.
- 11.パスキーの普及についての考察
近年のインターネットの普及により,オンラインショッピングやオンラインバンキングなどの電子商取引や,電子投票,電子投票といった電子政府への取り組みが拡大しつつある.これらのサービスの普及により,利用者に対する利便性が高まる一方で,インターネット上でやり取りされる個人情報を狙う犯罪が多発している.このような犯罪の1つに,フィッシングがある.
フィッシング対策について取り組んでいるフィッシング対策協議会によると,1年間におけるフィッシング詐欺は,増加の一途をたどっている.
本研究では,パスキーという完全にフィッシングを防ぐ方法があるのにもかかわらずなぜそこまで普及されてないのか調べ,普及させるにはどうすればいいのか考察することを目的とする.
- 12.YouTube動画編集におけるマニュアル作成
YouTubeは2005年の創設以来,世界中で数十億人が利用する主要な動画共有プラットフォームに成長した.このプラットフォームでは,個人クリエイターや企業が視聴者の関心を引くために様々な手法を駆使しており,特に編集技術はコンテンツの質を高め,視聴者を引き付け続けるために重要な役割を果たしている.YouTube初期の動画は,シンプルな編集や未編集のものが多かったが,現在はプロフェッショナルな編集技術が求められている.カット編集,音声効果,テキストやグラフィックスの挿入,アニメーションなどは視聴者体験を大きく向上させ,視聴時間の延長や離脱率の低下に寄与することが示されている.
視聴者のエンゲージメントは,単に動画を視聴するだけでなく,コメント,共有,チャンネル登録,再生リスト保存,リアクション(「いいね」や「低評価」)などを通じた視聴者の行動全般を指す.これらの行動指標は,編集技術が視聴者に与える影響を評価するための重要な基準である.例えば,適切なタイミングでのカット編集や音楽の選定,字幕の挿入などは,視聴者体験を強化し,視聴者の満足度を高めることでエンゲージメントを向上させる一方,過剰なエフェクトや冗長なシーンは視聴者を混乱させ,離脱率を上げる可能性もある.
このテーマに関する研究はまだ発展途上であり,特にYouTubeというプラットフォームに特化した学術研究は少ない状況であるそのため,動画編集技術が視聴者エンゲージメントに与える影響を探る研究には大きな可能性があり,YouTubeクリエイターやマーケティング担当者にとっても有益な知見を提供することが期待されている.現代のデジタルメディア研究において,YouTubeの編集技術と視聴者エンゲージメントの関係を解明することは,重要なテーマであると言える.
- 13.PDCAサイクル管理ツールの開発と検証
本研究の背景には,PM演習での自身の経験がきっかけとしてある.筆者が所属していたチームでは,チーム課題として代表的な品質マネジメント手法であるPDCAサイクルを適用した.PDCAサイクルとは,Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)の頭文字をとったフレームワークのことである.これらのプロセスを繰り返し,業務を継続的に改善していくことを目的としている.
計画の共有や評価など,PDCAサイクルの管理は週報を用いて行っていた.しかし,週報はPDCAサイクルを回すために最適化されたツールではなく,視覚的にPDCAサイクルが可視化されておらずそれぞれのプロセスを十分に管理できないという問題点がある.週報は演習での結果のまとめや振り返りとしてはとても有効だが,PDCAサイクルを適切にスムーズに管理するという点では問題点が多く,それだけでは十分ではないと感じたため,PDCAサイクルをより簡単に管理でき,視覚的にも見やすく可視化できるようなツールを開発したいと考えた.
また,ツールの開発はGoogleスプレッドシート(Googleが提供しているオンライン上でリアルタイムでの共同編集が可能な表計算ソフト)を使用
本研究の目的は,誰でも簡単にPDCAサイクルを回し,管理できるようなツールの開発と,PDCAサイクルの効果の検証である.
- 14.学生を対象とした映画ビジネス改善の提案
映画ビジネスは,経済的および文化的に重要な産業であり,特に日本ではその影響力が大きい[1].デジタル配信やVOD(ビデオ・オン・デマンド)の普及によって,映画の視聴方法が多様化し,映画館以外での映画体験が増加している[2].
また,映画館においても利用者および興業収入はコロナウイルスによるパンデミックで激減していたが,2023年の年間の興行収入は2214億8200万円(前年比103.9%),動員数は1億5553万5000人(前年比102.3%)を記録.興収発表になった2000年以降,5番目の好成績となり,コロナ禍前の水準まで回復をみせる結果となった[3].
しかし,映画館の入場料金や配給システムなどの課題から,今より発展していくためにはどのような改善が必要か疑問に思い,本研究に取り組むことにした.
本研究では映画館ビジネスの現状を分析し,発展に向けた具体的改善策を提案することである.
特に,映画館の高額な入場料金や配給システムの問題など,現状調査を行い現在抱えている課題を明らかにする.さらに,アンケート調査を通じて観客の意識やニーズを把握し,それに基づいた改善策を検討する.
これにより,映画館の独自の意義を再評価し,観客が映画館での鑑賞を選ぶ理由を強化するための戦略を策定する.最終的には,映画館ビジネスの持続可能な発展に寄与し,映画館がより発展していく提案をしていくことである.
卒業研究リスト(5期生:2024年3月卒業生)
1.日本語プログラミング言語学習による擬似言語習得効果の研究
2.PBL(PM演習)におけるレビュー改善の提案
3.DX導入を通じて行うDX推進人材の育成方法
4.Jリーグ観戦者の試合観戦要因に関する分析
5.ChatGPTを用いたWebアプリケーション開発方法の提案
6.安全性解析技法を用いた鉄道障害事故の分析
7.VR空間を活用した通信販売の提案
8.プロジェクトマネジメントの理解度向上のためのテーブルゲームの提案
9.コンシューマー向けスマートグラスの仮想モニターにおける利便性の調査
10.学習者の効率性向上に寄与するOJT計画書の提案
11.ローコードを用いたソフトウェア開発の品質評価方法の検討
- 1.日本語プログラミング言語学習による擬似言語習得効果の研究
令和7 年度以降の「大学入学共通テスト」では,新たに「情報」が加わり,「センター試験用手順記述標準言語(DNCL)」という独自のプログラミング言語(擬似言語)が使用される[1].また,独立行政法人情報処理推進機構が実施している国家試験「基本情報技術者試験」では,2023 年4 月から試験内容が変更され,プログラミングは「擬似言語」による出題に統一された[2].これらの試験に使用される擬似言語とは,プログラムの記述や解読を容易にするために作られた擬似的なプログラミング言語のことであり,英語だけでなく「日本語」で指示を書く部分も多数ある.また,擬似言語には「論理的思考力」が求められるのだが,大岩[3]は「論理的思考力は日本語プログラミング言語で鍛えられる」と述べている.これらの点から,大学入学共通テストや基本情報技術者試験で出題される擬似言語の習得には,「日本語プログラミング言語の学習」が効果的なのではないかと考える.
本研究では,「日本語プログラミング言語を学習することで,擬似言語の習得に効果があるのか」を,調査・分析し,大学入学共通テストや基本情報技術者試験で出題される擬似言語の学習方法を提案する.
- 2.PBL(PM演習)におけるレビュー改善の提案
レビューとは,組織内や業務において関係があるステークホルダが集まり,特定の議題に関して話し合いやその結果合意形成や施策などの意思決定をすることであり,そのために物理的にステークホルダが集まることを言う.このレビューは,筆者が体験したProject Based Learning(以下,PBL)の一つであるプロジェクトマネジメント演習(以下,PM演習)を行う上でもチーム内で現時点のプロジェクトの状態やメンバが抱えている課題を議論したりなど,何かしらの合意形成を図る目的で実施していた.
筆者は,PBLにおけるレビューをうまく進めることができなかった課題がある.具体的には,筆者はPM演習の後半のプロジェクトマネージャ(以下,PM)としてプロジェクトの運営及び管理を実施していた.その際,毎週木曜日と金曜日にレビューを行うことを策定していた.しかし実際には特に議題も上がらず直近抱えている問題に対してのみ対応をどうするか決めるためにしか使えていなかった.そのため,本来のレビューとしての体裁を保てず有効活用できていなかった.そのためレビューをうまく進めるための方法が必要だと考えたことがきっかけである.
- 3.DX導入を通じて行うDX推進人材の育成方法
近年DX化が進んでいるが,普及しきれていない部分が多々見受けられる[1][2].現在の日本がDXを普及させられていないのにはいくつか理由があるとされている.
一つ目は,DX概念の定義が,DX概念発信者に拠って異なる点である.いくつかの共通点は見られるものの,外部環境への適応概念の有無,プラットフォーム概念の有無,競争優位概念の有無,組織構造・プロセス・文化の変革有無など,DX概念発信者間で定義にばらつきがある.
二つ目は,現在のDX概念は,経済産業省やIDC JapanといったDX概念発信者に拠る定義は(彼らが積極的な情報発信をしていることもあって)明らかになっている一方,実業界で各企業がDX概念をどの程度受け入れているか,如何に解釈しているかが不明確な点である.
- 4.Jリーグ観戦者の試合観戦要因に関する分析
現在,スポーツに関心を持っている人が減少している.2022年時点のスポーツファン人口は,プロ野球ファンが2099万人,Jリーグファンが788万人であり,2021年からプロ野球ファンは179万,Jリーグファンは90万人減少している[1].また,新型コロナウイルスの感染拡大が始まった2020年以降,スポーツを見ることが好きという人の減少が続いている.
原田,三浦,宮田[2]は,プロ野球本拠地住民を対象に観戦意図に及ぼす要因を分析しており,観戦意図に影響を与える要因として,年齢,チームに関する情報接触度,チーム・ロイヤリティ,性別,チームの地元への貢献に対する期待度,プロ野球観戦に対する態度,過去の観戦経験の有無の要因に有意性があると認められた.以上のことから,消費者心理に影響する要因が,スポーツ観戦意図に影響することが明らかにされている.
このことから,Jリーグの観戦要因を調査し,Jリーグを構成している3つのリーグの観戦要因の分析を行い,スタジアムでの試合観戦者増加及びJリーグファンを増加させる提案をする.
- 5.ChatGPTを用いたWebアプリケーション開発方法の提案
現在,世界中におけるデジタル環境が加速化する中でIT人材は2023年には最大で79万人不足すると経済産業省[1]から発表されている. 近年AIの普及が進みAIを使う機会も増えてきており2022年の世界のAI導入状況調査[2]によると世界中で,人工知能 (AI)の導入と,それによる企業や社会への影響は,転換期を迎えており,世界のAI導入率[2]は着実に高まっていると感じている.そこで,2022年11月に公開されてから史上最速で成長しているChatGPT[3]を使いWebアプリケーションを開発する事でIT人材不足の軽減に繋がるのではないかと思いWebアプリケーションを実際に開発していこうと考えた.
- 6.安全性解析技法を用いた鉄道障害事故の分析
21 世紀になると開発されるシステムの規模は非常に大きくなり,複雑化したため,構成要素一つ一つの役割を理解するだけではシステムを理解することが難しくなった.そのようなシステムでは,アクシデントの原因が構成要素単体によるものだけでなく,構成要素間の相互作用によるものも考慮する必要が出てきた[2].
本研究では,鉄道事故の事例を基に,マサチューセッツ工科大学のNancy G Leveson 教授が提案したSTAMP/STPA を活用し,事故の原因分析を異なるアプローチから進め,未発見のアクシデント要因を発見することを目的とする.鉄道事故の例として,金沢シーサイドラインで発生した人身障害事故を挙げる.詳しくは後述するが,事故の直接の原因は,システム構成要素間の相互作用が上手く動作せず,期待と反する動作が行われたためである.この原因から,STAMP/STPA の適用が効果的であると判断した.
- 7.VR空間を活用した通信販売の提案
近年ChatGPTやメタバースなどのIT技術が発達しており,2022年にはスマートフォン所持率が96.5%になっており,15歳~19歳,20代,30代では100%になっている.このことからスマートフォンは若者を中心に普及しており,今後も発達していくことが考えられる.またそれに伴い,通信販売などのIT技術やスマートフォンを活用したビジネスが増加傾向にあり,売り上げも著しく伸びていることがわかる.しかし,一方でネットショッピングをためらう人もいる.ためらう理由は以下の図(図1)のようになっており,運営者不信が44.41%,商品情報不足が40.37%となっている[1].そこで今回は商品情報不足に目をつけ,VR空間を活用して購入者がより詳しい商品情報を知ることができるようになり,商品情報不足を解決し,ネットショッピング利用者が増えるのではないかと考えた.
- 8.プロジェクトマネジメントの理解度向上のためのテーブルゲームの提案
現在,プロジェクトマネージャの求人数は昨年と比較して増加しており[1],プロジェクトマネジメントの需要は増加傾向にあると考えられる.しかし,一部の職業検索サイトではプロジェクトマネージャの記載はなく[2],情報通信系職種の中で記載のあったシステムエンジニアやプログラマと比べると理解度は低いと考えられる.そのため,近年の教育現場で様々な職業や事例についての理解度向上にも取り入れられているボードゲームを参考に[3],プロジェクトマネジメントの理解度向上のための新たなボードゲームを製作したい.
- 9.コンシューマー向けスマートグラスの仮想モニターにおける利便性の調査
近年,メタバースを構築するために必要とされるAugmented Reality(以下,AR)技術に大きな注目が集まっている.Grand View Research社が行った調査では,ARの世界市場は2022年から2030年にかけて年平均成長率(以下,CAGR)で見ると39.8%の成長が見込まれると試算されている[1]. AR技術の多くはスマートフォンやタブレットを用いて利用することが一般的とされている中,近年ではスマートグラスといったメガネ型ウェアラブルデバイスを用いてAR技術を活用する実例が増えてきている.[1]では,スマートグラスセグメントにおける市場は2022年から2030にかけて49.0%のCAGRが見込まれると試算されている.しかし,現状におけるスマートグラスは機能に限りがあることから,特定の場面のみでしか性能を発揮できないことに加え,その多くが産業をはじめとする,ビジネス目的での利用が一般的であることから,一方でコンシューマー向けスマートグラスの開発に着手できていないと窺える.
- 10.学習者の効率性向上に寄与するOJT計画書の提案
現代の組織は激しい競争と急速な市場変化に直面しており,従業員の継続的なスキル向上が不可欠である.筆者は飲食店でのアルバイト経験があり,指導者としてOn the Job Training(以下,OJT)による育成を行った.その際学習者に対して十分なトレーニングができたと感じる場合と不十分であると感じた場合があり,他の指導者から育成を引き継いだ時に自身の教え方と異なる点や指導不足を感じることもあった.この原因として指導者の能力が異なること,教え方の不統一が挙げられる.これらのことから,学習者に対して効率的,効果的な指導を行うことができなかったと考えられる.
以上の課題を解決するためには,Instructional Design(以下,ID)のモデルの中の1つであるガニェの9教授事象を用いることで,効率的な指導を行うことが可能であると考えた.
- 11.ローコードを用いたソフトウェア開発の品質評価方法の検討
2015年に行われた国勢調査結果[1]によると,従来のシステム開発とは異なり,急激に変化する社会環境やビジネス要件に迅速かつ,柔軟に対応する必要があり,IT業界でエンジニアが不足している.また,今後も国内の民間IT市場規模が増加する傾向にあり,人材不足も進むと考えられている.
このような背景から必要最小限のソースコード開発でソフトウェアアプリ開発を行う手法であるローコードが注目されている[2].ローコードのメリットは大きく分けて3つある.
① 開発工程の簡略化・開発期間の短縮が可能
② 既にAPI(Application Programming Interface)が存在する場合,それらと連携可能
③ 導入時の学習コストが低い
ローコード開発ツールの一例としてkintoneというものがある[3].kintoneとは開発の知識が無くても業務アプリの作成が可能なクラウド型業務アプリ開発プラットフォームである.案件管理や進捗管理,日報管理などのアプリがノンプログラミングで作成することができる.ドラッグアンドドロップの操作だけでアプリを作成することができるため,システム担当者だけでなく,業務の担当者が必要に応じてアプリを作成することができる.改善の必要があればすぐに修正することができ,より業務に即したアプリの運用を行うことができる.
卒業研究リスト(4期生:2023年3月卒業生)
1.ABC分析を利用したサブスクを取り入れたビジネスの提案
2.IoTデバイスを用いた快適度向上の提案
3.第三者が「見る・観る」ことによるレビュー改善方法の提案
4.ペットロボットを用いたロボットセラピーのパッケージ開発に関する研究
5.都道府県魅力度ランキングに関する研究
6.Google機能を用いたICT教育の仕組みの提案
7.査定者の査定能力向上を目的としたトレーニングの提案
8.音楽アーティストを対象にした情報発信ツールの活用方法に関する提案
9.背景音楽が与えるグループワークに対する作業効率向上の実験
- 1.ABC分析を利用したサブスクを取り入れたビジネスの提案
近年スマートフォンの普及とともにそれらをデバイスとしたネットワークサービス,ゲームなどが多く利用されている.無料アプリ有料アプリなどあるが国内のアプリ市場を調べると日本人はplaystoreやAppstoreでアプリに課金している金額が世界トップレベルと課金大国であることがわかった[1].しかし世界のアプリ市場を調べると世界と日本とでは課金するアプリの種類が違っていた.アメリカで最も課金されており増加してきているものはサブスクリプション(以下サブスクと示す)を取り入れているアプリであった[2].ユーザにお得感,気軽さを感じやすいという点から増加してきていると考えられる.そこで本論文ではサブスクを取り入れているアプリを制作,運営している会社をいくつか調査しそれらのビジネスモデルを分析し比較をすることでどのようなビジネスモデルが成功するのかを調査することにした.ビジネスにおいて効率よく利益率を上げるために使用されるABC分析を使うことで調査すべき多くの企業を一目で可視化できるため今回ABC分析を使用する.結果としてその市場でA グループになった企業の概要,特徴,ユーザ層など含めてビジネスモデルにしていく.
- 2.IoTデバイスを用いた快適度向上の提案
筆者は,IoT技術に興味を持ち,IoTを用いた提案を行いたいと考えた.具体的には,研究室を架空の家と想定しSwitch BotとAlexaを活用した提案を行う.一般的にIoTデバイスを活用する,利用者の利便性の向上や,快適度が向上されると報告されている[1].一方で吉村,佐藤[1]はIoTサービスや製品を活用すればするほど,家庭内のIoTデバイスやIoTサービスが増加するため,家庭内のネットワークが複雑化されると報告されている.このことから,IoTの活用で利便性や快適度が向上する反面,ネットワークが複雑化することや,どのように快適になるかわからないという課題がある.
- 3.第三者が「見る・観る」ことによるレビュー改善方法の提案
PM実験では経験が浅い初学者が PBL を行うため,成果物(ドキュメントやソースコード)の欠陥による手戻りが発生し,それにより成果物の欠陥を修正するためにコストや時間が必要になることが問題である.
筆者のPM実験,演習の経験から,成果物に欠陥や問題が発生する原因は2 つあると考えた.1つ目は,人の目による検査により成果物の欠陥を見逃すことである.2つ目は,問題を問題と認識できていない知識不足である.これらの問題を解決するためには,プロジェクトで定期的に開催しているレビューの方法を改善する必要があると考えた.毎週のグループワークの際,オープニング時にレビューを行い,進捗状況や今日実施することを確認する.中間時点では,作業内容の確認や行き詰まっているところなどを相談する.そして,最後に,今日やったことを報告し,今後の計画を確認する.この一連のレビュー活動を効果的・効率的に実施することが成果物の欠陥を早期に検出し,手戻りを小さくすることにつながると言われている[1].
- 4.ペットロボットを用いたロボットセラピーのパッケージ開発に関する研究
ロボット市場は年々拡大傾向にあり,産業用ロボットだけでなく,家庭用ロボットも普及してきている現状にある.ここで,ペットロボットのひとつにLOVOTがある.LOVOTは購入者が好きに動作を開発できる機能がある一方で,その開発には専門的な知識が無いと難しい事が課題にある.また,LOVOTは心理的ストレス軽減効果があるのか検証できていないという課題がある[1].
このことから本研究では,LOVOTを対象にしたストレス軽減効果に寄与できる動作を開発する事を目的としている.
- 5.都道府県魅力度ランキングに関する研究
毎年10月頃になると,株式会社ブランド総合研究所から地域ブランド調査による都道府県魅力度ランキング(魅力度ランク)が発表される[1].魅力度ランクは多くの人の関心を寄せているため,ネットニュースやテレビに取り上げられる機会も多い.その影響により,この結果は各都道府県の魅力を図る一つの指標として認識されている.評価方法は,アンケートの回答者が,各都道府県の魅力を図る指標に関連する質問に対し5つの選択肢から1つ選びその結果を基に数値化され,ランキングが作成されるというものである[1].具体例を出すと,「以下の都道府県について魅力を感じますか」といった質問がされている.そのため,一つの質問により都道府県のイメージが図られてしまうという現状がある.
そこで,イメージに左右されない都道府県魅力度ランキング(提案順位)を作成し,魅力度ランクと比較することで,客観的な評価をしようと考えた.
- 6.Google機能を用いたICT教育の仕組みの提案
昨今の学校教育において,指導要領の改訂により,情報教育や教科指導においてICTを活用した教育の情報化の充実が図られた.令和3年7月末時点で全国の公立の中学校等では96.5%で生徒にタブレットが配られている.また,文部科学省は平成30 年度の文部科学白書の中で,積極的にICTを活用するように述べている[1].一方で,教育現場の現状として,ICT 教育における課題として二つある.一つ目は,ICT 教育を導入している現場が少ないため普及率の面で課題がある.二つ目に文部科学省が定義するICT 教育の適用範囲が不明瞭であるため,どの程度ICT 化していればICT教育といえるのかがわかっていないことである.このような現状の中,筆者は実際に教育実習を実施したところ,さらに根本原因があったことを確認した.具体的には,筆者が赴任した教育実習の現場では,ICT教育は実施されている一方でGoogle機能のみでICT化を実現することを求められていた.これらから,本研究ではGoogle機能を用いたICT 教育の仕組みを提案する.
- 7.査定者の査定能力向上を目的としたトレーニングの提案
昔だと,使って古くなった物はそのまま捨てる事が多かった.しかし,近年リユース業界が活発になった事で,使わなくなった物がお金に代わるのは消費者にとってのメリットが高くなった.
消費者は,査定価格を重視している事から,査定価格が高いほど満足してくれると言える[1].一方で,店舗買取側は買った時と同じ金額で買い取ることはできない為,店舗買取側は最大限の査定価格を見極める必要があるが,査定者が抱える課題が複数ある.この課題は,実際に筆者がアルバイトのリユース企業で働いた経験則と現状から調査した結果である.具体的には,毎回同じ人が査定をしているわけではない為,多少の査定価格の誤差が生じる事.次に,査定経験が浅い人だと,査定価格を決めるのに時間を要し,かつ査定価格が安定しない傾向にある事である.また,珍しいモノは相場を基に査定価格を見つけるのが難しくなる為,店舗独自のマニュアルに従って査定価格を決めてしまい,同じく査定価格が低くなってしまう.このことから,査定者の抱える課題を解決しなければ,お客様の満足感低下に繋がっている現状である.
- 8.音楽アーティストを対象にした情報発信ツールの活用方法に関する提案
情報化社会が急激に加速してきている現代において,音楽アーティストはホームページ(以下,HP)やSocial Networking Service(以下,SNS)等の様々なツールを用いた情報発信が必須となっている.その一方で,聞き手側はアーティストの最新情報をSNSでキャッチすることが出来る為,音楽アーティストが提供するHPの存在意義がないのではないかという疑問が筆者にはあった.そこでまず,HPが有効活用されているのかどうかをahrefs[1]を用いて調査した.その結果,HPとSNSが両方整備されている一組のアーティストはSNSのほうが閲覧数の多い結果となった.一方で,HPも閲覧数が0では無いためどちらのツールも有効活用する必要があるという結論になった.ただし,この事前調査は一組のアーティストを対象にしているため複数ジャンルから大量のアーティストを対象に事前調査と同じ観点でデータを収集する必要があるため,3 ジャンル10組ずつを調査することでツールの使い分けの戦略を提案していく.
- 9.背景音楽が与えるグループワークに対する作業効率向上の実験
音楽を聴きながら作業をする,いわゆる「ながら作業」は一般的には集中力が低下するため,作業効率を下げてしまうと考えられている.
先行研究では,好きな音楽を聴くことで緊張感が軽減し課題への取り組みが向上し,作業や学習の動機ともなりえることが示唆されているという研究がある[1].一方で普段音楽を聴かない人は音楽を聴きながら作業をすると気が散りやすくなり,作業効率が下がるという研究結果も出ている[2].
2つの先行研究によると,“個人の作業”を対象にした場合は,二極化した研究結果が示されている.ここで筆者は“複数人の作業であるグループワーク”を対象にした場合はどのような結果になるのか実験を行った.
卒業研究リスト(3期生:2022年3月卒業生)
1.ブレーンライティング手法の効果に関する研究
2.バッファデザインを用いたプロジェクトマネジメント演習への適用
3.NBA を対象にしたデータ分析の結果から得たロード・マネジメント理論のパターンの確立化
4.IoT構築におけるifLinkの有効性に関する研究
5.災害復興事前準備手順をPM 手法で構築するフレームワーク の考察
6.レビュー工程に影響を与える要因を認知バイアスの観点から解決する手法の提案
7.テスト自動化ツール活用のためのテスト環境の構築
8.教育系以外の学部出身教員が活用できる学習指導案のフレームワークの開発
9.ICT教材を用いた中等教育の課題解決策の提案
10.ifLinkオープンコミュニティで思考法を活用したIoTプロジェクト運営に関する研究
11.テキストマイニングを用いたSPI Japan発表事例の傾向に関する分析
12.大手携帯会社3社を対象に比較したゲーム理論を用いた携帯料金の値段設定に関する研究
13.SwitchBotを用いたIoTシステム構築のための調査と評価
- 1.ブレーンライティング手法の効果に関する研究
グループワークは,他者の考えを使い,多種多様な意見を出し合い複数人でワークのゴールを目指すものだ.しかし認知度のあるブレーンストーミング手法 [1]では発言力や立場の強い者の発言に引っ張られてしまい発言に偏りができてしまうとサラ・グリーン [2]によって指摘されている.私はこの問題を解決するために今 回ブレーンライティング手法に着目し解決しようと考えた.
- 2.バッファデザインを用いたプロジェクトマネジメント演習への適用
千葉工業大学 社会システム科学部 プロジェクトマネジメント学科(PM学科)の3年次の講義にプロジェクトマネジメント演習(PM演習)がある.そこでは,メンバで考えながらプロジェクトを進行する.しかし納期遅れなどのミスが起こることがある.この問題を解決するために,バッファデザインという考え方を利用する[1].
バッファデザインは,バッファという考え方を開発計画と進捗管理に活用するための手法である.このバッファを管理するために,バッファデザインでは危険度グラフが提案されている.この危険度グラフは,横軸は残バッファを表しており,縦軸は残工程を表している.
PM演習では納期を守り良い成果物を得るために,開発計画ではWBSを作成し,そのWBSに基づいてガントチャートを作成する.そして,進捗管理ではEVMを使って進捗状況を確認している.しかし,ガントチャートやEVMでは,進みや遅れの具体的な日数が把握しづらいといった課題があった.一方,この危険度グラフでは具体的に日数が分かるため,プロジェクトメンバーも先を見据えたプロジェクトを進行できると考えている.
- 3.NBAを対象にしたデータ分析の結果から得たロード・マネジメント理論のパターンの確立化
近年,NBA(National basketball Association)はワシントンウィザーズの八村塁選手やトロントラプターズの渡辺雄太選手の活躍もあり,日本での人気が上昇している.NBA とは,アメリカのプロバスケットボールリーグのことである[1].その中で「ロード・マネジメント」という新たなワードが主流になってきている.ロード・マネジメント(load management)とは,シーズンを戦い抜くための負荷管理のことで戦略的マネジメントの1 つである[2].プレイタイムを抑えたり,休養欠場をすることで,シーズンを通して怪我無く過ごせるように管理している.しかし,理論として確立されているわけではなく,活用方法はチームによってさまざまである.ロード・マネジメント理論の要素には,人,相手,日程,距離などがある.本研究ではデータ分析を行う.データ分析とは,ある目的において不可欠な情報や数値,文字などを収集し,その集めたデータを分類・整理・成形・取捨選択した上で解釈することである[3].データ分析の結果や事前の推察との差異,複数チームでの比較などからロード・マネジメント理論の活用のパターンを確立する.
- 4.IoT構築におけるifLinkの有効性に関する研究
多様なデバイスや電子機器がインターネットを介してつながる Internet of Things (以下,IoT)の普及により,社会インフラや産業分野においてIoT機器の活躍が注目を集めている[1].しかし,デバイスやIoTの活用シーンがたくさんある中で実際にIoT機器を作成できるプラットフォームが少ない.その中の一つとして,ifLinkオープンコミュ ニティ[2]がある.ifLinkオープンコミュニ ティではIoTのアイデア発足活動として様々なイベントや企画が推進されており,IoT導入の戦略や方針,付加価値の創造を目的とし て活動している.また,様々なIoT機器やWebサービスをモジュール化することで,ユーザが自由に組み合わせ便利なしくみを簡単に実現することができるIoTプラットフォームである.
- 5.災害復興事前準備手順をPM手法で構築するフレームワークの考察
復興まちづくりの事前準備に必要となる取組は以下の5つである[1].
(1)復興体制の事前検討
(2)復興手順の事前検討
(3)復興訓練の実施
(4)基礎データの事前整理分析
(5)復興における目標等の事前検討
最新の令和3年7月の復興まちづくりのための事前準備の取組状況では,この5つある主要な取組のいずれかを「検討済み」又は「検討段階である」と回答した自治体が62%いずれの取組も「検討していない」と回答した自治体が38%おり,未だに多くの自治体が復興事前準備に取り組めていないことが分かる.また,個別の取組で見ると,復興体制の事前検討は,「検討済み」又は「検討段階である」が58%で多くの自治体が意欲的であるが,復興訓練の実施は89%の自治体が「検討していない」と回答している[2].
これらの原因は他の業務に比べて優先順位が低く検討時間が確保できないということと国土交通省より発表されている「復興まちづくりのための事前準備ガイドライン[3]」が60ページのボリュームのある内容となっていて使いづらいということにあるそこでこの問題をガイドラインをPM観点で整理することで各自治体での復興事前準備に取り掛かることができるのではないかと考えた.
- 6d7.レビュー工程に影響を与える要因を認知バイアスの観点から解決する手法の提案
ソフトウェア開発において認知バイアスの影響によって,誤った意思決定をしてしまう場合がある.それは,レビューを行う過程で認知バイアスが掛かることで正しくレビューすることができない.図1は認知バイアスが影響する箇所を説明した概念図になる.前提条件として,レビュー者Xは,レビュー者Yよりも上位の職種にあるとする.このとき,レビュー者Yはレビューの過程で「レビュー者Xがレビューをしたのであれば,その内容は正しい」と考えてしまうことで,正確にレビューがされないことがあることを示している.このことから,本研究ではレビュー工程における認知バイアスを排除したレビュー方法の提案を行う.
- 7.テスト自動化ツール活用のためのテスト環境の構築
ソフトウェア開発現場において,設計,実装工程の規模の増大によって計画していたコストやスケジュールを圧迫してしまうことがあるそのため十分なテストが行えないことや手戻り発生時の対処に余裕が持てなくなってきていることが問題点として挙げられている.企業におけるソフトウェア開発では,解決策としてテスト自動化ツールの導入やテスト環境を構築し,テストにかかるコストと人員を抑えていることが分かった[1].
本学科で行われるPM演習におけるソフトウェア開発でも同様にコストやスケジュールの圧迫による問題を抱えるチームが散見された.これらの課題を解決するためにPM演習で活用できるテスト計画書・テスト仕様書テンプレートを作成しテスト自動化ツールを活用できるテスト環境の構築方法を提案する
- 8.教育系以外の学部出身教員が活用できる学習指導案のフレームワークの開発
-PM手法を用いた学習指導案の作成-
「教員を目指すならどの大学を選ぶか」.この問いに対する多くの回答は「教育学部のある大学を選ぶ」であるだろう.筆者もずっと「教員=教育学部」という概念があったため,教育学部に入れなかった事実に引け目を感じていた.しかし,この概念は大学で受けている教職課程の先生の一言で覆された.それは,「千葉工業大学(本校で教職課程を取っている生徒の強みは,教育の他に何かの専門性に特化していることである.」という言葉だ.筆者はこの言葉に心救われたわけだが,世間からしてみれば一介の大学教授が言った一言であり,論理的根拠もなければ何一つの効力もない.しかし仮にこのことを論証し,強みを活かせるようにすることで,個性に富んだ新たな授業展開が見込めると考えた.そこで本研究を通じて,教育系以外の学部出身教員の魅力を基に,特性を活かした学習指導案を作成することにした.
- 9.ICT教材を用いた中等教育の課題解決策の提案
情報化社会が急激に加速してきている現代において,society5.0「超スマート社会」という新たな社会像が設立された[1].教育業界にもInformation and Communication Technology(以下ICTを用いた教育が主流となりはじめ,新型コロナウイルスの影響から予定よりも早くICT教材を学校へ導入することとなった[2].学校の休校や分散登校によりオンライン授業がメインとなったため,ICT教材を使いこなす必要が生じた.一方で,ICT教材を導入して質の高い教育をするためには,ICTスキルのある教員が必要不可欠であるが,現在の教育業界ではICTスキルの乏しい教員が多数いることが問題視され,使いこなせていない現状にある.
- 10.ifLinkオープンコミュニティで思考法を活用したIoTプロジェクト運営に関する研究
多様なデバイスや電子機器がインターネットを介してつながるInternet of Things(以下,IoT)の普及により,社会インフラや産業分野においてIoT機器の活躍に注目を集めている[1].一方で,IoTを導入したときの戦略や方針が不明確のままIoT化を推進することで無駄な試行錯誤を繰り返すケースや,付加価値が生み出せないまま投資を無駄にしているケースも多くみられている[2].
これに対して,ifLinkオープンコミュニティ[3]では,企業の社員と学生を交えて“今欲しいIoT機器”の視点からワークを行うことで,付加価値を考えながら進めることができる,かつ,スマートフォンアプリと専用のパッケージキットを使用することで,その場ですぐIoT化することができるため,無駄な試行錯誤を繰り返す必要がない.また、ifLink オープンコミュニティには部活動と呼ばれる活動があり,ifLink運営組織から企業の社員,学生まで幅広く参画できる活動のことで,筆者はこの活動に参画している.この活動で活用した方法や成果を基に本研究で示す.具体的には,ifLinkオープンコミュニティの部活動に参画した筆者がIoTの課題に対して,思考法やビジネスフレームを活用したプロジェクト運営方法の提案をする.
- 11.テキストマイニングを用いたSPI Japan発表事例の傾向に関する分析
日本SPIコンソーシアム(JASPIC)という組織の活動に着目した.これは「ソフトウェアプロセスの改善SPIおよびSPIに伴うプロセス評価SPAに関する研究,技術移転,普及活動,国際交流などを行う事を目的に設立された非営利団体」である[1].JASPICが主催するソフトウェアプロセス改善シンポジウム(SPI Japan)と呼ばれる改善活動の事例について発表を行うイベントがある.筆者は,ここに投稿されている発表事例を,プロセス改善活動を行う際に有効に活用したいと考えた.しかし事例の内容が様々で,数ある投稿論文の中から事例探索者が知りたいことと関連の強い事例を探すことが困難な現状にある.そこで本研究では,事例探索者が知りたい事例を探すことができる方法を考えた.具体的には,テキストマイニングを用いて論文の傾向を分析し,その結果を用いたウェブサイトを作成し公開する.
- 12.大手携帯会社3社を対象に比較したゲーム理論を用いた携帯料金の値段設定に関する研究
日本の総人口が1億2622万人なのに対して,携帯電話の契約数は1億7307台で,これは日本の人口の1.4倍にあたる[1].さらに携帯電話の契約数は増加傾向にある.
通信業界の中でも大手3大キャリアと呼ばれるKDDI(au),softbank,docomoに焦点をあて,移動体通信の中でも日常でよく使う携帯電話の料金設定に絞りゲーム理論を用いて導き出す.
- 13.SwitchBotを用いたIoTシステム構築のための調査と評価
身の回りには様々な電化製品があり,日々の生活の手助けをしてくれている.そして近年さらに便利な機能がついているIoT製品が普及してきている.総務省によると,IoT業界の成長は今後も進んでいくと述べられている.しかし,IoT業界は成長してきているがその導入企業は23.1%とまだまだ低いことが課題である[1].また,家庭でのスマートホームを導入しない理由に,費用面が52.9%,設定接続が大変そうだからという意見が21.5%,商品のことがわからないからという意見が13.5%あった[2].これに対し,すでに家にある電化製品をIoT化することができ,いろいろなIoT製品も展開しているSwitch Botを用いてIoT導入の評価をしようと考えた.
卒業研究リスト(2期生:2021年3月卒業生)
1.はてなブログを対象にした面白さの指標の提案 -面白さ分析システムの開発-
2.オンラインイベントの評価に関する研究 ~U・Iターン者向け就職活動オンラインイベントの企画~
3.「ブロックチェーン技術を使用したデータ流通事業」の課題の明確化
4.コンクリート品質の安定性向上の研究 ~ エアメータ試験での空気量の安定化 ~
5.ファンクションポイント法の計算ツールに関する研究
6.動画配信事業における動画製作フローの提案
7.アジャイル開発におけるスクラムマスターの適正に関する研究
8.プロジェクトマネジメント演習におけるCCPMツールのガイド作成
9.ソフトウェア信頼度推定ツールの開発
10.初学者がプログラミングを習得できる学習環境の提案
11.テストケースの優先度と実行工数を考慮したテストケース選択ツールの開発
- 1.はてなブログを対象にした面白さの指標の提案 -面白さ分析システムの開発-
面白いブログ[1]ですら,大量のつまらないブログの中で埋もれてしまうことがある.面白いブログならば,面白いと評価される必要があると考えた.そこで,面白いと感じるブログとそうではないブログの違いを調査し,面白いブログか否かをシステムで判断したいと考えた.
- 2.オンラインイベントの評価に関する研究 ~U・Iターン者向け就職活動オンラインイベントの企画~
地域活性化をする要因の一つにU・Iターン者の貢献度が高いと述べられている.一方で,ビジネスIT[1]は,コロナウイルスの影響でU・Iターン者は増加傾向にあると示している.しかし,U・Iターン者をさらに増やすためには,それを呼び込むイベントが必要だが,新型コロナウイルス感染拡大防止のため,3密になるイベントは控える必要がある.そのため,オンライン形式のイベントを企画する必要があると考えた.しかし,現状,地域活性化させたい人達は,U・Iターン者をオンラインイベントで呼び込めるか不安を抱くことが多い.そこで,本研究で,U・Iターン者を呼び込むことを目的としたオンラインイベントを企画段階から評価するシステムを提案する.具体的には,従来の対面型イベントを企画書段階からイベント関係者に対して説明できるイベント自己点検システム[2]を応用して,オンラインイベントに適応できるシステムを提案する.また,提案するシステムを用いることで,企画書作成時などに使用することができるため,そのテンプレートを作成する.
- 3.「ブロックチェーン技術を使用したデータ流通事業」の課題の明確化
近年,電子データでやり取りされる仮想通貨が世の中に普及してきている.仮想通貨は,法的通貨とは違い国家による強制通用力がなくインターネット上での取引に用いられることが多い.また,仮想通貨の取引データの管理はブロックチェーン技術で行われており,分散型台帳として記録するためのテクノロジーとして開発・運用している.
ここで,筆者はブロックチェーンを用いた企業を調査したところ,現物のある取引や信頼性の確保などにブロックチェーン技術の考え方を導入した事例は多く挙げられている一方で,データ流通といった仮想通貨以外のデータ取引にも活用されている事例があった.このことから,ブロックチェーン技術は,仮想通貨の取引だけではなく配送システムの管理や製造元の偽造防止などのデータ流通にも活用されはじめている.しかし,ブロックチェーン技術を導入する業種に応じた問題や,より良いサービスを提供するための改善点が存在すると考えられる一方で,明確化されていない.
そこで,本研究では,ブロックチェーン技術を用いた企業や業種の事例を基に,ビジネスモデルやCustomer Value Chain Analysis(以下,CVCA)を用いることでブロックチェーン技術を用いた企業の課題を明確にする.
- 4.コンクリート品質の安定性向上の研究 ~ エアメータ試験での空気量の安定化 ~
生コンクリートの製造現場において日々の品質管理は必要不可欠である.物が悪ければ信用されなく購入してもらえない.品質管理を怠ってしまうと,コンクリートがひび割れ,寿命年数よりも早く劣化してしまう.それによってコンクリートの強度不足などにつながる.このことから,コンクリート製造現場において品質を管理することは重要である.
筆者は,来年度からコンクリートを製造する企業に就職することが決まっている.今年度,就職に先立ちコンクリート製造現場で業務を担当する機会を得た.その製造現場で担当する作業の一つとして,コンクリート製造時の「品質データの収集と分析」という業務を行った.
生コンクリートを製造するときに加える空気量を安定させなければ強度問題に繋がるため,空気量を安定させることが重要である.JIS規格の空気量の基準値は4.5%±1.5%である.しかし,今回対象とした製造現場では,「品質データの収集と分析方法」は未整備であり,作業者の経験と勘に頼っている部分も多いという課題があった.
- 5.ファンクションポイント法の計算ツールに関する研究
ファンクションポイント法は,ソフトウェアの機能の大きさを示す指標となるものである.データの入出力など計測対象や計測基準が明確なため属人性が少ない,ユーザから見た機能で計測するため客観的説明性が高いといった特徴[1]があり,そのため,見積もりや工数管理等に使われている[2].ファンクションポイント法は「ILF,ELF」のデータファンクションと「EI,EQ,EO」のトランザクションファンクションの5種類の情報と複雑度,また任意の調整係数を評価してファンクションポイントを算出し機能規模を求める[3].
しかし,ファンクションポイント法には課題がある.それは,難解であり習得に一定の時間や金銭といったコストが必要となること,作業負荷がかかることである.具体的には「ILF,ELF,EI,EQ,EO」の情報を求めること,ファンクションポイントを算出することが大きな負荷となる.特にこの作業負荷はプロジェクトマネジメントの初学者にとって重い負担となる.そのため,初学者はファンクションポイントを選択しにくいと考える.実際,PM演習では,簡易な概算見積もりが選択される傾向が強い.
この様な課題から,ファンクションポイント法の難解さ,習得コストや作業負荷の高さを軽減する,計算ツールを提供することでこの課題が,解決すると筆者は考えた.
- 6.動画配信事業における動画製作フローの提案
2020年,国内の動画広告市場の規模が前年比14%増の2954億円になる見通しである(図1).その背景には,動画配信サービスやSNSの利用拡大があると考えられる.また,2021年以降も,大手電気通信事業者によるモバイル通信量の引き下げや,5Gの本格的な普及が開始されることにより,ユーザーのスマートフォンによる動画コンテンツ視聴は引き続き拡大すると思われ,今後も市場の拡大が見込まれている.
この動画広告市場(特にYouTube)の拡大に目をつけ,多くの企業や個人がYouTube事業に参入してきているのが、毎分500時間のビデオがアップロードされ,全体で最も人気のある動画の10%が、視聴回数の79%を占めているYouTubeで新規参入することは容易でない.そして,TV業界等からの進出も多くなっている中,YouTubeの動画にもクオリティを求める思想が増えてきている.
- 7.アジャイル開発におけるスクラムマスターの適正に関する研究
アジャイル開発フレームワークのスクラムにおいてスクラムマスターという役割がある.しかし,スクラムマスターは過小評価されている傾向にあると述べられている[1].この理由に,プロジェクトマネージャーとの違いが分からないことや,役職として置く価値を定義しにくいからである.スクラムマスターはアジャイル開発の重要な位置である.なぜなら,スクラムマスターがいることで高いパフォーマンスのチームを作り上げ,スクラム運用のメリットを最大限に発揮できるからである.しかし,スクラムマスターは適当に選ばれているのが実情である.これだと,本来スクラムマスターに期待される,リーダーシップやコミュニケーションを活用したスクラム運用ができない.
そこで,リーダーシップの適性を測るために用いられるPM理論[2]のようなマトリクスがあれば,スクラムマスターの適性を考慮して選ぶことができると考えた.ここで,PM理論は,Pm,PM,pm,pMの4象現で示し,リーダーシップの適性を図る考え方であるPM理論をスクラムマスターの適性を図るために活用する場合,目標達成能力であるP機能は目標を達成するために時には厳しく指示する能力なので,スクラムマスターの行うことではない.そこでスクラムでPM理論を使うために,目標達成能力であるP機能を自己組織化推進能力であるO機能(The self Organization promotion function)として変更することによってスクラムにおけるリーダーシップを測ることができるのではないかと筆者は考えた.このことから,本研究では,スクラムマスターが適当に選出されることで起こる問題に対して,PM理論を応用したスクラムマスターの適性を図るOM理論を提案する.
- 8.プロジェクトマネジメント演習におけるCCPMツールのガイド作成
プロジェクトのスケジュールを管理する手法の一つに,Critical Chain Project Management(以下,CCPM)[1]がある.CCPMとは,プロジェクトの納期を守るためにタスクに含まれるムダを排除し余裕時間(以下,バッファ)として納期前に集中配置し,そのバッファを基にしてプロジェクトを管理する方法である[2].
CCPMは千葉工業大学の授業のプロジェクトマネジメント演習(以下,PM演習)という問題解決型学習PBL(Project Based Learning)で,チーム課題の一つとして取り上げられている.しかし,CCPMを選ぶチームは毎年12チームの内2~3チーム程度しかない.この理由は,CCPMが難しく,初めてプロジェクトをする初学者にはあまり向かないことや,CCPMをPM演習で実施するためのツールが少ないことが原因だと考えられる.
実際に筆者が経験したPM演習でも,最終成果物の納期は守れたが,その過程で上手くスケジュール通りにプロジェクトを進行できなかった.この理由は,タスクの依存関係やタスク内にムダが多く含まれていため,それを考慮した計画が立てられなかったことにある.これは,他のチームでも同様に起こっており,PM演習において初学者は,タスクのムダに気づかないことが多い.そのため,スケジュールを管理する手法としてCCPMを使用すると良いと考えた.しかし,現状PM演習でCCPMを初学者が実施するのは難しいという課題があるため,本研究ではCCPMを初学者でも上手く推進するためのツールガイドを作成する.そのツールとして,Being Management3(以下,BM3)を使用する.BM3は,プロジェクトの開始日や納期,リソースの情報を直感的に一覧でき,プロジェクトの危険度や作業の優先度を色で表示できるツールである.
- 9.ソフトウェア信頼度推定ツールの開発
ソフトウェア信頼度推定ツールは現在ソフトウェア開発の現場において多用されるツールの一つであり,テストの消化数,累積バグ件数を同一グラフにプロットしてテストの進捗状況を確認する.また,そのグラフからソフトウェアの開発や品質状況を把握するためのガイドなども存在している[1].しかし,フリーで公開されているツールSRATS[2]には課題がある.それは,バグ曲線を表示しテストの状況を確認することは出来るがバグ曲線の推定モデルは一つしか表示していないということである.また,累積バグ件数とテスト消化数の2曲線からテスト状況の把握を行うことも出来ない.以上の課題があるため,信頼度推定に必要な要素が不足している.
そこで,昨年,図1と図2に示すようなツールが開発された[3].しかし,図1に示す通り2つのモデル(ゴンぺルツ曲線,ロジスティック曲線)を同時に表示しており注目する推定曲線だけを表示することができなかった.この問題を解決するには本来図2でテスト結果を表示したい曲線が選択できるようにする必
要がある.
- 10.初学者がプログラミングを習得できる学習環境の提案
大学などのプログラミング演習科目では,30~40名からなるクラスを1名の教員と数名のアシスタントで指導することが多いため,個々の学習者に合わせた指導が行われているとはいえない.そのため,挫折してしまう学習者が少なくない[1].また,複雑な構造を持つ言語を用いると,多くの学生が挫折を感じるとともにプログラミング嫌悪症になる[2].そこで,比較的理解しやすい言語の一つであるScratchで基本を学びながら同時に,高度なプログラミング言語に挑戦すれば,理解がしやすいと考えた.
このことから,本研究ではプログラミング初学者が抱える嫌悪症を感じることなく学習できる環境を提案する.具体的には, Scratchを習熟させると同時に,Python言語の問題を解かせることで挫折することなく言語の理解度を向上させる.
- 11.テストケースの優先度と実行工数を考慮したテストケース選択ツールの開発
ソフトウェア開発の規模は増大傾向にあり,同時に不具合を未然に防ぐためのデバッグやテストの重要性が一層高まっている. またソフトウェアのテスト工程は人手によるテスト実施が多く,膨大なテストケースを一件ずつ網羅的にテストを実行することは,制約のある時間で行うことは不可能である.
テストケースの選択はテスト技術者の技術やノウハウに左右されることがあり,最も効果的なテストケースを選択できるとは必ずしも言えない.これに対して佐々木ら[1]は限られた工数の範囲内で効果的にソフトウェアの不具合検出を可能にするテストケース選択手法を開発し提案している.この手法はテスト履歴から不具合の割合と,テスト未実施期間の2つの観点からテスト価値を算出し,制約条件を満たすテスト価値が最大となるテストケースを選択する手法である.また,佐々木らはテスト管理システムの開発を行い,テスト管理ツールであるTESTRAPLUSにテストケース選択の機能として実装している.
現在各テストケースの優先度と実行工数の両方を考慮した,単体としてのテスト選択ツールは存在しない.
卒業研究リスト(1期生:2020年3月卒業生)
1.メトリクスの活用をナビゲートするプロセスの開発
2.ソフトウェア信頼度推定ツールの開発
3.ゲーミフィケーションの事例分析及び進捗報告手法の提案
4.テスト自動化ステップの導入ガイドの開発
5.プロセス改善推進のためのガイドの開発
6.初心者向けプロジェクト管理プロセスの提案
7.組合せテストにおける不具合インタラクションの特定に関する研究
8.操作順序を考慮した組合せテストの研究
9.“売れる”営業チームマネジメントの研究
- 1.メトリクスの活用をナビゲートするプロセスの開発
現在,ソフトウェア開発の環境の変化は大きくなっており,製品開発におけるソフトウェア開発の比重は高くなり,ソフトウェア開発の規模が大規模になり,複雑化が進んでいる[1].
しかし,実際のソフトウェア開発の現場では,ソフトウェアのソースコードの規模が数十万,数百万行に達する大規模のプロジェクトを数ヶ月のサイクルで行うことも多くある.この状況からソフトウェア開発の品質における欠陥やトラブルが増加してきている[2].この問題に対して,ソフトウェアメトリクスを活用することで,定量的に開発管理をして,開発状況の可視化や意思決定の根拠の明確化,問題の早期発見などの効果が期待できる点に着目した.
ソフトウェアメトリクスとは,ソフトウェアライフサイクルのさまざまな特性から機械的に派生した定量的な計測規準である.しかし,メトリクスは,ソフトウェア開発の現場で積極的に活用されているとは言えない.その原因はメトリクスで何をどうすれば良いのか,どのように活用すれば良いのか分からない場合が多いと考えられる.また,メトリクスを現場で効果的に活用するためには,メトリクスとデータ分析の両方の知識が必要になる.
そこで,本研究では,PMBOKにおける各プロセスの成果物の品質状況や進捗状況を把握したうえで,プロジェクトのどのプロセスで,どのメトリクスを活用すると効果的にプロジェクトが進められるかをナビゲートするプロセスの開発を行う.
- 2.ソフトウェア信頼度推定ツールの開発
ソフトウェア信頼度推定ツールは現在ソフトウェア開発の現場において多用されるツールの一つであり,テストの消化数,累積バグ件数を同一グラフにプロットしてテストの進捗状況を確認する.また,そのグラフからソフトウェアの開発や品質状況を把握するためのガイドなども存在している[1].しかし,現状フリーで公開されているソフトウェア信頼度推定ツールは扱いづらいものが多く企業内で代わりとなるツールを製作してテスト記録を行っているのが現状である.フリーで公開されているソフトの中でも代表的なツールの一つにSRATS[2]がある.SRATSではバグ曲線を表示しテストの状況を確認することは出来るがバグ曲線を一つしか表示していない.また,累積バグ件数とテスト消化数の2曲線からテスト状況の把握を行うことも出来ない.そのため,信頼度推定に必要な要素が不足している.また,SRATSは英語表記であり日本人にとっては言語面で扱いづらいなどユーザーインタフェースの側面で見ても問題点が存在する(図1).
現状,フリーで公開されている信頼度推定ツールは推定のために必要な要素や言語面で課題がある.そのため,これらを解決することで,より簡単でかつ扱いやすいツールの開発をする必要がある.
- 3.ゲーミフィケーションの事例分析及び進捗報告手法の提案
プロジェクトの進行を妨げる要因の一つとして,メンバ間での進捗状況の把握等ができていないというものが挙げられる.これはメンバ毎の達成率の基準がずれている事や進捗状況の把握が難しい事,進捗の遅延等マイナスな報告を避けてしまう事が原因になる[1].この対策をプロジェクトでは進捗管理ツールを導入することで継続的に進捗状況の報告をさせると共に,進捗管理の作業効率向上図ることが多い.しかしながら,マイナスな報告を避けてしまうメンバや報告を疎かにしてしまうメンバに対しては情報の視覚化や管理のしやすさだけでは対策になるとは言えないため,別の対策が必要と考える.
上記の問題を解決するため,マイナスな報告があるメンバでも自主的に報告するようなプラスのイメージを進捗報告プロセスに加えられないかと考えた.その一つとして達成感の向上や報告に対するモチベーション向上を目的としたゲーミフィケーションの手法を導入した進捗報告の手法を提案する.また,その問題に対してゲーミフィケーションを導入した効果を評価する.
- 4.テスト自動化ステップの導入ガイドの開発
現在,製品の機能や価値がシステムやデジタル情報処理によって提供されるようになり,ソフトウェア開発規模が飛躍的に増大している.しかし,その多くは人手で行われており,コスト削減の余地がある.人手で行っている以上,漏れやミスは防げず,コストも増大している[1].システムが利用される環境の多様化により多量のテストを短期間に行う必要があり,テストの質と量に対する要求が増大している[2].そして,現在,安価で,高度,かつ操作しやすいテスト自動化ツールが普及しはじめている.それによってツールによる,テスト自動化導入成功事例が増加している.一方で,テスト自動化ツールを購入してはみたものの,うまく使いこなせずに断念してしまう例が出てきている.導入したいが,二の足を踏んでいるという声も多数聞く.ツールを購入したが様々な開発部門では導入がうまく進んでいないということが見受けられる.
そこで,本研究では,実践に基づくテスト自動化ステップの留意点についてまとめ,テスト自動化を失敗せずにやり切るための手順とポイントを『導入ガイド』として提示しようと考えた.
- 5.プロセス改善推進のためのガイドの開発
ソフトウェア開発の現場の実態として,開発費の総額は減少傾向にあるものの,ソフトウェアの開発費の割合は年々増加している(開発費が圧縮できていない).また,新規開発よりも既存のソフトウェア資産を流用した開発が多い(半数以上が既存資産を流用した開発である).ソフトウェアリリース後の不具合発生件数は年々増加している.ソフトウェアの品質問題が発生した際,プロセスの見直しが再発防止策として最も実施されている.
開発者の役割には組織の改善が含まれない事が多い.プロセスの改善活動には,設計・実装・テストなどの開発者の業務スキルとは異なる専門のスキルが必要であるにも関わらず,開発者がこのスキルを業務から学ぶ機会はほとんどない.改善活動がうまく進まない背景にはこのような開発現場の現状がある.
日本SPIコンソーシアム(JASPIC)が主催しているSPI Japanというソフトウェアプロセス改善活動で得られた技術や知見を総集し,その普及と技術力向上の場を提供するためのイベントがある.プロセス改善の最も権威のあるこのシンポジウムでは,毎年,各社から30~40件のプロセス改善の発表がある[1].しかし,SPI Japanでは,自分達の問題に対応する事例を見つけるのが難しい.それは,SPI Japanで毎年,各社から30~40件の発表がされているが,ジャンル毎のプロセス改善の分類分けがされていないことが問題である.
- 6.初心者向けプロジェクト管理プロセスの提案
プロジェクトを行う際に,プロジェクト管理が大事である.そのために,PMBOKが提案され,活用されている.PMおよびPJメンバがPMBOKをより良く理解して実践することが大事である.しかし,経験の浅いPMが使いこなすのは難しく,自分で勉強しようとしても困難である[1].
PM演習を例に挙げると,週毎に個人の工数と実績を登録し,EVMで管理している.しかし,個人がどのような作業を行い,どの作業にどのくらいの時間を使っていたのかは把握できていない.また,成果物の規模しか把握していないため,品質の確認は十分にできていないことが多い.
つまり,現状把握→分析→改善というサイクルが回らないことになる.個人の能力を高める代表的な方法としてPSP(Personal Software Process)がある.PSPは作業の方法を制御し,管理することで,自らを改善できるように設計された自己改善プロセスである [1].しかし,これは,ソフトウェア開発の設計や実装の能力向上のためのプロセスであり,PMとPJメンバの能力向上に適した内容にはなっていない.
そこで,経験の浅いPMおよびPJメンバにもPSPを活用して,個人のプロジェクト管理の能力を向上させる必要があると考えた.
- 7.組合せテストにおける不具合インタラクションの特定に関する研究
ソフトウェアシステムの信頼性を高めるため,テストは重要な工程であるが,一方でコストが非常に大きくなることがある.組合せテストは不具合検出能力を低下させずに,コストを抑えるテスト手法である[1].
組合せテストの例として図1,表1がある.図1は,原稿サイズ,用紙サイズ,分割,カラーの4つの項目(因子)に対して,それぞれに3つのパラメータ値(水準)があるプリンタ印刷設定の例である.この図1を基にして組合せテストを行う場合,テストケース生成には4因子それぞれに3つの水準があるため,すべての組合せのテストを行うと81個のテストケースが必要になる.81個のテストケースの中から2因子をどのように選んでも,値の組合せ(インタラクション)がすべてテストケース集合の中に現れているという条件を満たしたときに生成されるテストケースが表1である.表1のようなテストケースを生成したテストを実施したときに不具合が検出された場合,どの組合せで不具合が検出したのかを特定するには,多数の組合せパターンを確認する必要があるため,時間がかかることが多い.
そのため,本研究では不具合発生時にどのインタラクションが不具合を起こしているかを推定する手法の提案を行う.
- 8.操作順序を考慮した組合せテストの研究
近年,ソフトウェアの多機能化に伴いテスト工程が増加しているが,テストに投入できる時間が限られている.また,品質に対する要求は以前にも増して高まっているのが現状である.こうした課題を解決するために考え出された効率的な組合せテスト技法は,大規模,複雑化するソフトウェアの組合せテスト件数を大幅に削減することが可能な技法である.この技法には,直交表とオールペア法の2つがある.ここでは直交表を例に説明する.直交表とは,実験計画法で用いられる表のことでコスト・スケジュールの制約によって,すべてのケースで実験できない時などに用いる.因子とその水準が均等に現れる実験条件を決めるために一つの列の各水準の中に,他の列の各水準がすべて同回数ずつ現れるように作られている.ソフトウェアで組合せテストをする際,すべての組合せを実施することは実質不可能であるが,直交表を使用することにより,組合せテストの効率化を図ることができる.
しかし,先ほど紹介した技法には問題点がある.それは,テスト実行にあたっての組合せの操作順序については何も言及していないことである.これにより因子の順序関係による不具合の見落としの可能性が存在する.
- 9.“売れる”営業チームマネジメントの研究
営業職は,「営業部門が弱い.昨年も目標達成できなかった.何とかしたい」という悩みや相談が,よく飛び交う職種である.目標未達の状態が続くのを何とかしようと,企業は2つの方法を考える.
第一は,営業マネージャの訓練であり,営業管理職研修に社員を派遣する.
第二は,営業担当者の訓練である.これも,営業担当者研修に社員を派遣する.
しかし,どちらもなかなか成果に結びつかない.前者の場合は,マネージャが習ったことを実践しようとするが,部下たちを上手く巻き込めず,「学んだだけ」で終わるケースがほとんどである.また後者の場合は,営業担当者一人が研修で習った新しいことを始めようとすると「そんなのはいい.それよりこっちだ」という上司の指示が飛んできて,結果的に行動に移せないケースも少なくない.
こうして,マネージャも営業担当者も研修には行ったけど効果が上がらない状態が続く.
営業成績を生み出しているのはマネージャや営業担当者という個人ではない.支店や営業所,部や課単位のチームである.そうであるならば,「個人でなく,チームをより良いチームに変える」そのような研修プログラムを提供すれば,目標達成できるはずだと考えた.
Last Update:2026/02/07