ここでは、これまでに実施した多重課題シミュレーションの実践結果の一部を紹介します。
【引用】 統合実習における「多重課題演習」を展開するためのプラットフォー ムマネジメントの実践;岡本華枝, 徳永基与子, 鈴木克明, 小笠原秀人,国際P2M学会誌, 19(2), p.16 表6-2, 2025年6月.
多重課題シミュレーションを事前・事後に実施した2つの大学でアンケートを行った結果、学生の【自信】や【実践力】の向上が明らかになりました。 事前と事後、2回の演習で得られた成果 統合実習前と実習後に2回の演習を行った学生は、すべての評価項目で2回目の方が自信をもてたと答えました。ただし、最初の演習で自信がついた学生でも、実習後にはその自信を失っていた例もありました。そのため、実習後にも演習を再度行うことが、自信の回復や維持に効果的であることが分かりました。 学生の感想から見えてきたこと 多くの学生が演習前には「複数の患者を受け持つ不安」や「優先順位のつけ方が難しい」と感じていました。しかし、演習を通して「情報収集の大切さ」や「根拠を持った行動」が重要だと学び、徐々に自信をつけていった様子が伺えました。また、患者役の体験は、看護を受ける立場を知る貴重な機会となり、「どんな看護が良いのか」を考える視点を育てました。 実習と演習をつなげて学ぶ 実習後に行った2回目の演習では、 ・複数の患者にどう対応するか ・時間をどう管理するか ・情報をどう整理し、伝えるか(I-SBAR-Cの活用) といった力が養われ、訪室の順番を考える力や、チームでの協働も深まっていました。学生たちは、「演習と実習を繰り返すことで、成長を実感できた」と語っており、より良い看護を目指す姿勢やさらなる課題への意欲も高まっていることが分かりました。 まとめ 多重課題シミュレーションは、 ✔ 不安の軽減 ✔ 実践力の向上 ✔ 成長意欲の育成 に効果的であり、統合実習との連動によって、より深い学びへとつながります。 【引用】 統合実習における「多重課題演習」を展開するためのプラットフォー ムマネジメントの実践;岡本華枝, 徳永基与子, 鈴木克明, 小笠原秀人,国際P2M学会誌, 19(2), pp.82-102, 2025年6月.